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歯茎の出血の原因とは?歯周病との関係と正しい対処法を解説します

2026.04.18

歯磨きをしていて歯茎から血が出た経験はありませんか?

多くの方が一度は経験されることですが、実はこれは歯周病のサインかもしれません。歯茎からの出血は決して軽視できない症状です。初期段階では痛みがないため見過ごされがちですが、放置すると歯を失う原因にもなりかねません。

私は長年にわたり歯周病治療に携わってきましたが、早期発見と適切な対処によって多くの患者様の歯茎の健康を取り戻すお手伝いをしてきました。歯周病は「サイレントキラー」とも呼ばれ、気づかないうちに進行する怖い疾患です。しかし正しい知識と継続的なケアで予防・改善が可能です。

この記事では、歯茎から出血する原因、歯周病との関係、そして正しい対処法について詳しく解説します。ご自身の歯茎の健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。

歯茎から出血する主な原因

歯茎からの出血には複数の原因が考えられます。

最も多いのは歯周病によるものです。実際、歯茎からの出血の原因のうち90%以上が歯周病によるものとされています。歯周病は歯と歯茎の境目に蓄積したプラーク(歯垢)内の細菌が主な原因となって引き起こされる感染症です。

プラークは時間が経つと歯石となり、歯ブラシでは取れなくなります。このプラークや歯石が歯の表面や歯周ポケットに溜まることで、歯茎に炎症が起こり出血につながるのです。

歯周病以外の出血原因としては、以下のようなものがあります。

  • 過度なブラッシング:力を入れすぎた歯磨きや硬すぎる歯ブラシの使用
  • 歯のかぶせ物の不適合:合っていないかぶせ物の周囲にプラークが溜まる
  • 大きな虫歯:歯茎の下まで進行した虫歯による炎症
  • 根の先の炎症:根管治療後の細菌感染
  • 全身疾患:糖尿病、白血病、血友病など
  • 薬の副作用:抗凝固剤(ワルファリン)などの服用
  • ホルモンバランスの変化:妊娠、更年期など
  • ビタミンC欠乏症

これらの原因のうち、歯周病は最も頻度が高く、また放置すると深刻な結果を招く可能性があります。

歯周病による出血のメカニズム

歯周病による出血は、細菌と身体の防御反応の結果です。

歯肉縁下プラーク中の細菌が歯周病の主な病因であり、プラークを構成する細菌の質が変化すること、つまりポケット内に空気を嫌う嫌気性菌が増殖することが明らかになっています。歯肉縁下プラーク1ミリグラム中には1億から10億個の細菌が生息しているのです。

これらの細菌が歯肉に攻撃を仕掛けて身体の中に侵入しようとすると、身体は菌をやっつけて侵入を抑えようと攻撃します。この戦いの証が歯肉からの出血なのです。出血は歯周病菌と白血球の戦いの証であり、炎症が起きているサインと言えます。

ポケットの中で細菌はバイオフィルムと呼ばれる集塊を形成します。バイオフィルム中の細菌は白血球や抗体などの攻撃や抗生物質等からも防御され、歯周病が慢性化する要因になっています。

歯周病の進行段階と症状

歯周病は段階的に進行します。

初期段階では「痛み」や「しみる」などの症状がないことも多いため、いつの間にか感染し、気づかないうちに進行しているケースも少なくありません。そのため「サイレントキラー」と呼ばれており、日本人が歯を失う原因の多くがこの歯周病によるものです。

軽度歯周病(歯肉炎)

歯茎が赤く腫れたり、出血が見られたりします。

炎症によって歯茎が下がり、歯周ポケットが深くなるため、よりプラークが溜まりやすくなってしまいます。痛みなどの自覚症状がないこともあります。ご自身では気づきにくいのが難点ですが、この段階で治療ができれば元の健康な歯茎へ戻すことができるケースが多いです。

この時期に適切なブラッシングと歯科医院でのクリーニングを行えば、炎症は数日で収まることが期待できます。

中等度歯周病(歯周炎)

歯茎の炎症が顎の骨にまで達し、歯周ポケットがさらに深くなります。

歯の安定性が低下してグラつくようになり、わずかな刺激で歯茎から出血するようになります。この段階になると、歯を支える骨が溶け始めているため、より専門的な治療が必要になります。

歯周ポケットが深くなると、一般的な歯ブラシの毛先は奥まで届きません。専用の歯周ポケットケア用歯ブラシや歯間ブラシ、デンタルフロスの使用が重要になってきます。

重度歯周病

顎の骨の大部分が溶けてしまい、歯のグラつきが顕著になります。

歯茎からは血だけでなく膿も出るようになり、口臭も目立つようになります。歯周病がこの状態まで進行すると、抜歯以外に治療法がないケースも多いです。重度まで進行してしまうと、歯を残すことが非常に難しくなるため、早期発見・早期治療が何より大切です。

血に膿が混ざっている場合は、歯周病がかなり進行している恐れがあります。目には見えない歯茎の中で知らないうちに菌が増殖し、歯周組織を破壊している可能性があります。

歯周病と全身疾患の関係

歯周病は口の中だけの問題ではありません。

近年の研究で、歯周病は体全体に影響を及ぼすことが明らかになってきました。歯周病の原因菌が血液を通して全身に回ることが原因だと考えられています。炎症によって出てくる毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、様々な病気を引き起こしたり悪化させる原因となるのです。

歯周病が引き起こす可能性のある全身疾患

心臓病・脳血管疾患

歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て、血管内にプラーク(粥状の脂肪性沈着物)ができ血液の通り道は細くなります。プラークが剥がれて血の塊ができると、その場で血管が詰まったり血管の細いところで詰まります。

歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になりやすいと言われています。血圧、コレステロール、中性脂肪が高めの方は、動脈疾患予防のためにも歯周病の予防や治療がより重要となります。

糖尿病

歯周病は糖尿病の合併症の一つとして知られています。

歯周病菌の死骸の持つ内毒素は血糖値に悪影響を及ぼします。血液中の内毒素は、脂肪組織や肝臓からのTNF-αの産生を強力に推し進めます。TNF-αは、血液中の糖分の取り込みを抑える働きもあるため、血糖値を下げるホルモン(インスリン)の働きを邪魔してしまうのです。

逆に、歯周病を合併した糖尿病の患者さんに抗菌薬を用いた歯周病治療を行ったところ、血液中のTNF-α濃度が低下するだけではなく、血糖値のコントロール状態を示すHbA1c値も改善するという結果が得られています。つまり、歯周病と糖尿病は相互に悪影響を及ぼしあっていると考えられるのです。

肺炎

歯周病菌の中には、誤嚥により気管支から肺にたどり着くものもあり、高齢者の死亡原因でもある誤嚥性肺炎の原因となっています。

早産・低体重児出産

歯周病の方はそうでない方と比べて早産のリスクが高まるという指摘もあります。妊娠中は特に口腔ケアに注意が必要です。

アルツハイマー病

歯周病菌のひとつP.g菌(Porphyromonas gingivalis)がもつ「ジンジパイン」というタンパク質分解酵素はアルツハイマー病悪化の引き金をもつ可能性が示唆されています。

このように、歯周病は口腔内だけでなく全身の健康に深く関わっています。歯周病の予防・治療を行うことで、全身の様々な病気のリスクを下げることが可能なのです。

歯茎から出血したときの正しい対処法

歯茎から出血したらどうすればよいのでしょうか?

出血しても歯磨きは続けてください

血が出るからと歯磨きを止めてしまうと、プラークや歯石が増えてさらに歯周病を悪化させてしまいます。

出血が気になっても、食後はしっかりと歯磨きを行いましょう。ただし、抗凝固剤を服用している、血液関係の疾患がある場合は、無理に磨いてしまうと症状を悪化させる恐れがあるため、早めに受診しましょう。

多少の出血であれば、歯ブラシを軽く当てて歯磨きを続けていきます。細菌を患部から出すことで、数日で炎症が収まります。出血箇所は細菌によって炎症を起こしている状態ですので、細菌をかき出すことで炎症が収まるのです。

正しいブラッシング方法

過度なブラッシングは歯茎を傷つける原因になります。

「よく歯磨きをしておいてくださいね」と指導を受け、誤ったブラッシング方法をとられる方はよくいらっしゃいます。特に男性の方が硬めの歯ブラシを使うと歯茎を傷付ける恐れが多いです。歯ブラシの硬さを普通、もしくは柔らかめに変更してみましょう。

効果的なブラッシングのポイント

  • ハミガキ粉を使用して、1日2~3回、少なくとも2分間はブラッシングをする
  • ヘッドが小さく、柔らかめで毛先が丸いタイプのハブラシ、または電動ハブラシを使用する
  • 特に歯と歯茎の境目をていねいに磨く
  • 歯ブラシを縦に持ち、歯軸に平行に当て、ポケットに毛先を挿入して歯ブラシを振動するようにマッサージを行う(1歯ずつの縦磨き)
  • 歯面に約45度の角度で毛先をポケットに入れ、ポケット内のプラークを除去する

歯間ケアの重要性

歯ブラシだけでは歯と歯の間の汚れは取りきれません。

フロスまたは歯間ブラシを使って、歯と歯の間などハブラシが届きにくい部分のプラークを取り除くことが重要です。デンタルフロスには2種類あり、ワックス、ノンワックスとあります。一般的に使いやすいのはワックスタイプですので使用してみるのも一つです。

ただし、歯間ブラシやデンタルフロスによる外傷には注意が必要です。サイズの見直しやフロスの使い方の指導が必要かもしれません。

いつ歯科医院を受診すべきか

以下のような場合は早めに歯科医院を受診してください。

  • 出血が数分経っても止まらない場合
  • 大量の出血がある場合
  • 血に膿が混ざっている場合
  • 歯茎の腫れや痛みを伴う場合
  • 歯のグラつきがある場合
  • 口臭が気になる場合

歯茎からの出血は、歯周病の初期症状の可能性があり、歯の喪失へ至る最初の段階を示している可能性があります。血が混じるのが時々であっても、歯茎から血が出たら、そのまま放置しないようにしましょう。

定期的に歯科医院で検診を受けることで、症状が現れる前に歯茎の異常を見つけることができます。歯茎から血が出たら、直ちに歯科医師に相談して、症状が悪化する前に対処することが大切です。

三代歯科医院での歯周病治療の特徴

当院では歯周病治療に力を入れております。

患者様の歯の変化を見逃さないように、当院では衛生士を担当制にしております。患者様1人につき担当の歯科衛生士を決めているため、メンテナンスが一貫して行われるという特徴があります。

25年以上地域に根付いている歯医者であり、同じ患者様を長期的に診察させて頂く機会が多いため、長期的な観点を持った治療を行っています。軽度から重度まで対応可能です。

歯周病治療の流れ

当院では以下のような流れで歯周病治療を行います。

  • 検査:歯周ポケットの深さの測定、歯の動揺度の測定、プラークの付着状態を測定
  • 診断と治療計画:検査結果を基に診断名を決め、治療計画を立案
  • 歯ブラシ指導:プラークの成り立ちや歯石が沈着する原因を説明し、正しいブラッシング方法を指導
  • 歯石除去・クリーニング:専門的な器具を使用してプラークや歯石を除去
  • 深い歯周ポケットの治療:必要に応じて専門的な治療を実施
  • 再評価:治療の区切りには必ず歯周組織検査を行い、治療効果を判定
  • メンテナンス:定期的なクリーニングとチェックで再発を防止

見た目と進行度が異なることが多いので、歯周組織検査とエックス線検査の結果を組み合わせて適切な診断を下すことが重要です。

費用について

症状が軽度の場合の費用は、保険診療の口内クリーニングで5,000円から1万円程度です。症状の程度や治療内容によって費用は異なりますので、詳しくはお問い合わせください。

出典三代歯科医院「歯周病について」より作成

歯周病予防のための日常ケア

歯周病は普段のケアが大切です。

正しい歯磨きと同時に、ケアグッズの活用や、生活習慣の見直しも視野に入れましょう。例えば間食が多いと、口腔内は常に汚れた状態になり、細菌が増えやすくなります。

歯周病のリスクを高める生活習慣

  • 口腔内の乾燥
  • 喫煙
  • よくかまずに食べること
  • ストレスによる免疫力の低下
  • 不規則な食生活
  • 運動不足

こうした習慣のある方は注意が必要です。

歯周病と糖尿病は、相互に悪影響を及ぼしあっていると考えられるようになってきました。毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し、歯周病を予防することが全身の生活習慣病を予防することにつながります。

半年に一度は歯科医を受診し、生活習慣も含め口腔内のケアを受けるようにしましょう。歯医者は口腔内の変化をみることのできるプロです。口腔ケアも自分一人できちんと行うのは難しいと言われています。

まとめ

歯茎からの出血は歯周病のサインかもしれません。

歯周病は初期段階では症状がないことも多く「サイレントキラー」と呼ばれていますが、早期発見と適切な対処によって改善が可能です。出血があっても歯磨きを止めず、正しいブラッシング方法で継続的にケアすることが大切です。

また、歯周病は口の中だけでなく、心臓病、脳梗塞、糖尿病、肺炎など全身の健康にも影響を及ぼすことが明らかになってきました。歯周病の予防・治療を行うことで、全身の様々な病気のリスクを下げることが可能です。

当院では25年以上にわたり地域の皆様の歯の健康をサポートしてきました。担当制の歯科衛生士による一貫したメンテナンス、長期的な観点を持った治療が特徴です。元町駅から徒歩5分、土曜日も診療しておりますので、お気軽にご相談ください。

歯茎からの出血が気になる方、歯周病が心配な方は、早めの受診をお勧めします。大切な歯を失うことのないよう、早めの治療と適切な予防を心がけましょう。

詳しい治療内容やご予約については、三代歯科医院 歯周病のページをご覧ください。皆様のご来院を心よりお待ちしております。

 

歯茎の出血が気になったら、まずは状態確認から

歯磨き中の出血は、磨き方だけでなく歯周病が関係していることもあります。初診では、お口の状態を確認しながら、検査の流れや必要な処置について相談できます。

初診について相談する

次の一歩を確認したい方へ

出血が一時的でも、歯茎の炎症や歯周ポケットの変化が隠れていることがあります。受診の目安やセルフケアの見直しを含めて相談したい方に向いています。

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著者情報

院長

三代 知史
(みしろ さとし)

略歴

  • 昭和56年3月東京医科歯科大学歯学部 卒業
  • 昭和56年4月大阪大学歯学部附属病院 第二補綴科医員
  • 昭和60年4月大阪大学歯学部文部教官助手任官
  • 昭和62年4月三代歯科医院 開業

所属学会

  • 日本歯科補綴学会
  • 日本臨床歯周病学会
  • 日本顎咬合学会
  • 日本歯科麻酔学会
  • 日本歯科医療管理学会

主な役職

郡市区役員歴

  • 令和元年7月中央区歯科医師会 会長
  • 令和5年6月神戸市歯科医師会 副会長

兵歯役員・委員歴

  • 平成23年4月理事(学術)
  • 平成27年7月常務理事(財務)
  • 令和元年7月副会長(医療保険、医療安全、医療管理)
  • 令和3年7月監事

日歯役員歴

  • 令和3年7月〜令和5年6月日本歯科医師会 常務理事
  • 令和5年7月公益財団法人8020財団 常務理事

賞罰

  • 平成21年11月兵庫県公衆衛生協会長表彰
  • 令和元年2月日本公衆衛生協会長表彰
  • 令和5年10月厚生労働大臣表彰

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