
入れ歯が合わなくなる原因は何ですか?
入れ歯が合わなくなる主な原因は、顎の骨の吸収・入れ歯自体の劣化・歯茎(歯肉)の変化の3つです。これらは単独で起こることもあれば、複合的に重なることもあります。
本記事では、入れ歯(義歯)が合わなくなる原因と、痛み・外れる・噛めないといった症状別の対処法、放置した場合のリスク、入れ歯の種類の選び方までを詳しく解説します。
顎の骨の吸収(骨吸収)
歯を失った後、その部分の顎の骨は徐々に吸収されて痩せていきます。これを骨吸収と呼びます。骨が減ると歯茎のボリュームも失われ、入れ歯と歯茎の間に隙間が生じて外れやすくなります。
特に糖尿病などの全身疾患がある方は骨吸収が進みやすく、入れ歯が合いにくくなるリスクが高いとされています。歯周病が原因で歯を失った場合も、もともと骨が少ない状態からスタートするため、入れ歯が安定しにくい傾向があります。
入れ歯の劣化・すり減り
入れ歯は金属やプラスチック(レジン)などの素材で作られており、使用とともに必ず劣化します。特にレジン床(プラスチック製)の入れ歯は水分や温度変化の影響を受けやすく、変形・ひび割れが起こりやすいです。
食事のたびに噛む力がかかるため、人工歯の咬合面もすり減ります。すり減ると上下の噛み合わせの高さ(咬合高径)が低くなり、口周りにしわが増えたり、顔が老けて見えたりする原因にもなります。
歯茎の変化・萎縮
歯茎は年齢や体調によって形状が変化します。入れ歯装着直後は比較的柔らかかった歯茎が、使用を続けるうちに引き締まって硬くなり、入れ歯との適合が変化します。また、入れ歯を長期間使用しないでいると残存歯が移動し、入れ歯が入らなくなることもあります。
三代歯科医院|神戸市中央区元町
入れ歯の不具合でお困りの方、調整・作り直しのご相談を承ります。
月火水金 9:30〜13:00 / 14:00〜19:00|木土 9:30〜13:00 / 14:00〜18:00|日曜定休
入れ歯が合わないと、どんな症状が出ますか?

入れ歯が合わないと、痛み・外れやすさ・噛めない・話しにくいなど多岐にわたる症状が現れます。これらのサインを見逃さず、早めに歯科医院を受診することが重要です。
痛みが出る場合
入れ歯が歯茎(粘膜)に強く当たると、圧痛や口内炎が生じます。特に食事中に噛むたびに痛む場合は、入れ歯の形が歯肉の形に合っていないか、噛み合わせがずれている可能性があります。
また、入れ歯が合っていないと口角(口の端)が常に湿った状態になり、口角炎を引き起こすこともあります。痛みを我慢して使い続けると症状が悪化するため、早期の調整が必要です。
外れやすい・グラつく場合
総入れ歯は歯茎への吸着力で固定されるため、骨吸収や歯茎の変化で隙間ができると外れやすくなります。部分入れ歯は残存歯にかける金属のバネ(クラスプ)で固定しますが、日々の着脱でバネが緩んだり変形したりすると安定感が失われます。
唾液が少なくなる加齢や薬の副作用によるドライマウスも、総入れ歯の吸着力を低下させる原因の1つです。
噛めない・食事がしにくい場合
入れ歯の人工歯がすり減ると噛み合わせのバランスが崩れ、硬いものや繊維質のものが噛み切れなくなります。食事の楽しみが損なわれるだけでなく、栄養摂取にも影響が出ます。
大阪大学大学院歯学研究科(2024年11月)の研究では、大阪府の後期高齢者186,893人を対象とした追跡調査(平均観察期間3.2年)で、適合不良の入れ歯使用者の死亡リスクは最大1.83倍になることが明らかになりました。適切な入れ歯の使用が高齢者の健康維持に直結することを示す重要なデータです。
入れ歯が合わないまま放置するとどうなりますか?
合わない入れ歯を放置すると、口腔内の健康だけでなく全身の健康にも深刻な影響が及びます。早期対処が不可欠です。
- 残存歯への過剰な負担:入れ歯を使わないと残っている歯に負担が集中し、歯の寿命が短くなります。
- 残存歯の移動:歯のない部分に隣接する歯が傾いたり移動したりして、入れ歯が入らなくなることがあります。
- 噛み合わせの悪化:頭痛・肩こり・顎関節症の一因になるケースがあります。
- 栄養不足・認知症リスク:噛めないために流動食に頼ると栄養が偏り、認知症や健康寿命の短縮につながる可能性があります。
- 骨粗しょう症薬(BP製剤)服用中の方:合わない入れ歯で歯肉に傷ができると、顎骨壊死が起こるリスクがあるため特に注意が必要です。
上記のリスクを踏まえると、違和感や痛みを感じたら我慢せず、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
入れ歯が合わない時の対処法は何ですか?

入れ歯が合わないと感じたら、まず洗浄・安定剤の使用を試み、改善しなければ歯科医院を受診してください。自己判断での削りや曲げは絶対に行わないでください。
自宅でできる応急処置
- 入れ歯の洗浄:プラーク(歯垢)や食べかすが付着すると入れ歯が変形し、合わなくなることがあります。入れ歯用洗浄剤に浸けて徹底的に清潔にしましょう。
- 入れ歯安定剤の使用:市販の入れ歯安定剤は歯肉と入れ歯を一時的に接着する役割があります。ただし、長期使用はお手入れが難しくなり衛生状態が悪化するため、あくまでも応急処置として使用してください。
- 硬い食べ物を避ける:痛みや外れが気になる間は、硬いものや粘着性の高い食べ物を避けて歯茎への負担を軽減しましょう。
歯科医院での対処法
- 入れ歯の調整(リライン・リベース):入れ歯の内面(粘膜面)に裏打ち材料を追加して歯茎の形に合わせ直す処置です。骨吸収が軽度な場合に有効です。
- 噛み合わせの調整:咬合紙を使って当たりの強い部分を削り、バランスを整えます。
- 金具(クラスプ)の調整・交換:部分入れ歯のバネが緩んでいる場合は調整または交換します。
- 入れ歯の再製作:劣化が著しい場合や骨吸収が大きく進んでいる場合は、新しく作り直すことが最善です。
治療用義歯(暫間義歯)を使って正しい噛み合わせを探してから最終義歯を作製する方法もあり、長年ずれた噛み合わせに慣れてしまった方に特に有効です。
入れ歯の種類によって合いやすさは変わりますか?
入れ歯の素材・種類によって、フィット感・耐久性・見た目が大きく異なります。保険適用のレジン床・自費の金属床・ノンクラスプデンチャーの3種類が主な選択肢です。
レジン床義歯(保険適用)
- 素材:歯科用プラスチック(レジン)
- メリット:保険適用で費用を抑えられる。修理が容易で短期間で作製できる。
- デメリット:床が厚くなるため異物感が出やすい。水分・温度変化で変形しやすく劣化が早い。
金属床義歯(自費診療)
- 素材:コバルトクロム合金やチタンなどの金属
- メリット:強度が高く薄く作れるため装着時の違和感が少ない。熱伝導率が高く食事の温度を感じやすい。
- デメリット:保険適用外。金属アレルギーのある方には使用できない。
ノンクラスプデンチャー(自費診療)
- 素材:金属バネの代わりに人工樹脂を使用した部分入れ歯
- メリット:金属バネが見えないため審美性が高い。柔らかい樹脂で装着時の違和感が少なく、金属アレルギーの心配がない。
- デメリット:保険適用外。金属床に比べて強度・機能性がやや劣る。
どの種類が適しているかは、残存歯の本数・顎の骨の状態・全身疾患の有無・ライフスタイルによって異なります。歯科医師との十分な相談のうえで選択することが重要です。
当院の入れ歯の作製・調整の対応は、こちらからご確認いただけます。
入れ歯とインプラントはどちらが向いていますか?

入れ歯とインプラントはそれぞれ異なる特性を持ちます。手術不要・保険適用・適応範囲の広さが入れ歯の主な優位点です。
- 噛む力:インプラントは天然歯に近い噛む力を発揮。入れ歯は天然歯の約30〜40%程度とされる。
- 手術の有無:入れ歯は手術不要。インプラントは外科手術が必要。
- 治療費:入れ歯(レジン床)は保険適用可能。インプラントは全額自費で高額になりやすい。
- 治療期間:入れ歯は比較的短期間で装着可能。インプラントは骨との結合に数ヶ月を要する。
- 適応範囲:入れ歯は多数歯欠損・総歯欠損にも対応可能。インプラントは骨量が不足している場合は適応外になることがある。
- 他の歯への影響:部分入れ歯はクラスプをかける歯に負担がかかる。インプラントは隣接歯を削らない。
- 寿命:インプラントは適切なケアで長期間使用可能。入れ歯は定期的な調整・再製作が必要。
インプラントと入れ歯を組み合わせる方法もあります。例えば、一部をインプラントで固定し、残りを部分入れ歯にするなど、患者さんの状態に応じた使い分けが可能です。全身疾患や骨の状態によってはインプラントが適応外になる場合もあり、歯科医師との相談が不可欠です。
入れ歯を長持ちさせるためのケア方法は?
入れ歯を長く快適に使うためには、毎日の正しいケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスが欠かせません。
毎日のセルフケア
- 食後の洗浄:食事後は必ず入れ歯を外し、入れ歯専用ブラシで優しく磨きます。歯磨き粉は研磨剤が含まれるため使用しないでください。
- 入れ歯洗浄剤の活用:週に数回、入れ歯用洗浄剤に浸けることでプラークや細菌を効果的に除去できます。
- 適切な保管:入れ歯は乾燥すると変形します。外した後は専用容器に水または洗浄液を入れて保管してください。
- 残存歯・歯茎のケア:入れ歯を外した後は、残っている歯と歯茎もブラッシングして清潔に保ちましょう。
歯科医院での定期メンテナンス
入れ歯の状態は日々変化する口腔内に合わせて定期的に確認する必要があります。3〜6ヶ月に1回を目安に歯科医院でチェックを受けることで、小さな不具合を早期に発見・修正できます。
三代歯科医院では、患者さん1人につき担当の歯科衛生士を配置し、一貫したメンテナンスを提供しています。歯周病治療に力を入れ、できる限り天然歯を保存する治療方針のもと、入れ歯の定期調整にも対応しています。
神戸市中央区で入れ歯の相談はどこにすればよいですか?
神戸市中央区・元町エリアで入れ歯の痛み・外れ・噛めないなどのお悩みをお持ちの方には、みなと元町駅から徒歩1分に位置する三代歯科医院をご利用ください。
25年以上地域に根付いた実績を持ち、レジン床(保険適用)・金属床・ノンクラスプデンチャーの3種類に対応しています。治療の流れは問診・型取り(1〜2回)・噛み合わせの型取り・見た目と噛み合わせの調整・装着と微調整の5段階で進められます。担当の歯科衛生士が継続してサポートするため、入れ歯装着後のメンテナンスも安心して任せていただけます。
入れ歯が合わないと感じたら、我慢せずにお気軽にご相談ください。【三代歯科医院の入れ歯治療についてはこちら】
よくある質問
入れ歯が合わなくなる一番の原因は何ですか?
最も多い原因は顎の骨の吸収(骨吸収)です。歯を失った後、その部分の顎骨は徐々に痩せていき、入れ歯と歯茎の間に隙間が生じます。加齢や糖尿病などの全身疾患があると骨吸収が進みやすくなります。
入れ歯が痛い時はどうすればよいですか?
すぐに歯科医院を受診して調整してもらうことが最善です。痛みを我慢して使い続けると口内炎や粘膜の炎症が悪化します。受診までの間は硬い食べ物を避け、入れ歯安定剤で一時的に対処してください。
入れ歯が外れやすい時の応急処置は?
市販の入れ歯安定剤を使用することで一時的に安定させられます。ただし安定剤はあくまでも応急処置であり、長期使用は衛生上の問題が生じます。早めに歯科医院で調整または再製作を検討してください。
入れ歯はどのくらいの頻度で作り直す必要がありますか?
一般的に5〜7年を目安に見直すことが推奨されています。ただし顎骨の吸収速度や使用状況によって個人差があります。定期的な歯科受診で状態を確認し、必要に応じて調整・再製作を行いましょう。
保険適用の入れ歯と自費の入れ歯はどう違いますか?
保険適用のレジン床は費用を抑えられますが厚みがあり違和感が出やすいです。自費の金属床は薄くて丈夫で違和感が少なく、ノンクラスプデンチャーは金属バネがなく審美性が高いです。口腔内の状態や希望に応じて選択します。
入れ歯を使わずに放置するとどうなりますか?
残存歯に過剰な負担がかかり、歯の寿命が短くなります。また隣接歯が移動して入れ歯が入らなくなることもあります。噛めないことで栄養不足や認知症リスクの上昇にもつながるため、早期の対処が重要です。
入れ歯の洗浄はどのようにすればよいですか?
食後は入れ歯専用ブラシで水洗いし、週に数回は入れ歯洗浄剤に浸けて除菌してください。歯磨き粉は研磨剤が含まれるため使用不可です。外した後は専用容器に水を入れて保管し、乾燥による変形を防ぎましょう。
入れ歯とインプラントはどちらがよいですか?
手術が不要で保険適用・治療期間が短い点では入れ歯が優れています。噛む力や長期的な安定性ではインプラントが優位です。全身疾患の有無・骨の状態・費用・希望を考慮して歯科医師と相談のうえ決定してください。
ノンクラスプデンチャーはどんな人に向いていますか?
金属バネが目立つことを気にする方や金属アレルギーのある方に向いています。部分入れ歯の一種で、人工樹脂製のバネを使用するため審美性が高く装着時の違和感も少ないです。ただし保険適用外となります。
入れ歯の調整は何回くらい必要ですか?
装着直後は数回の調整が必要なことが多く、その後も定期的なメンテナンスが必要です。歯茎の状態は日々変化するため、3〜6ヶ月に1回の定期チェックを受けることで快適な状態を維持できます。
まとめ
入れ歯が合わなくなる原因の大半は「顎骨の吸収」「入れ歯の劣化」「歯茎の変化」であり、これらは避けられない変化です。しかし、定期的な歯科受診と適切なメンテナンスによって、快適な状態を長く維持することは十分可能です。大阪大学の2024年研究が示すように、適合良好な入れ歯の使用は死亡リスクの低減にも直結します。痛み・外れ・噛めないなどの症状が出たら我慢せず、早期に歯科医師に相談してください。レジン床・金属床・ノンクラスプデンチャーの中から、口腔内の状態と生活スタイルに合った入れ歯を選ぶことが、健康で豊かな食生活への第一歩です。
三代歯科医院|神戸市中央区元町
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著者情報
院長
三代 知史
(みしろ さとし)

略歴
- 昭和56年3月東京医科歯科大学歯学部 卒業
- 昭和56年4月大阪大学歯学部附属病院 第二補綴科医員
- 昭和60年4月大阪大学歯学部文部教官助手任官
- 昭和62年4月三代歯科医院 開業
所属学会
- 日本歯科補綴学会
- 日本臨床歯周病学会
- 日本顎咬合学会
- 日本歯科麻酔学会
- 日本歯科医療管理学会
主な役職
郡市区役員歴
- 令和元年7月中央区歯科医師会 会長
- 令和5年6月神戸市歯科医師会 副会長
兵歯役員・委員歴
- 平成23年4月理事(学術)
- 平成27年7月常務理事(財務)
- 令和元年7月副会長(医療保険、医療安全、医療管理)
- 令和3年7月監事
日歯役員歴
- 令和3年7月〜令和5年6月日本歯科医師会 常務理事
- 令和5年7月公益財団法人8020財団 常務理事
賞罰
- 平成21年11月兵庫県公衆衛生協会長表彰
- 令和元年2月日本公衆衛生協会長表彰
- 令和5年10月厚生労働大臣表彰
