
歯根端切除術とは何か?なぜ必要になるのか?
歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ)とは、通常の根管治療では治癒が見込めない根尖病変(根の先の炎症・膿の袋)に対し、外科的に歯茎を切開して根の先端を切除する治療法です。「アピコ」とも呼ばれます。
根の先に膿の袋(歯根嚢胞)が形成されると、歯の内部からのアプローチだけでは細菌を完全に除去できないケースがあります。そのような場合に、外科的処置として歯根端切除術が選択されます。
三代歯科医院|神戸市中央区元町
歯根端切除術の適応について、当院へお気軽にご相談ください。
月火水金 9:30〜13:00 / 14:00〜19:00|木土 9:30〜13:00 / 14:00〜18:00|日曜定休
通常の根管治療で治らないのはなぜか?

根管は非常に複雑な形態をしており、特に根の先数ミリには側枝や根尖分岐と呼ばれる細かい枝分かれ構造があります。この部分は通常の根管治療器具では到達・清掃が難しく、細菌が残存しやすい部位です。
また、以下のような状況では通常の根管治療が困難になります。
- 歯根が曲がっているため器具が先端まで届かない
- 金属の土台(ポスト)が入っており除去が難しい
- 根管治療を繰り返しても症状が改善しない
- 根尖部の形態が複雑で通常の清掃が不可能
このような場合に、外科的に根の先端を直接処置する歯根端切除術が有効な選択肢となります。
歯根端切除術の手術の流れはどうなっているか?
手術は基本的に1回で完了し、その後は経過観察が中心となります。術前の精密検査から術後の骨回復確認まで、おおよそ1年程度の経過観察期間が必要です。
- カウンセリング・精密検査:レントゲンおよびCT検査で病変の範囲・根の形態・周囲の神経・血管との位置関係を三次元的に把握します。
- 麻酔:局所麻酔を行い、手術中の痛みをコントロールします。
- 歯茎の切開・剥離:根の先端付近の歯茎を切開し、骨にアクセスします。
- 病変の除去:膿の袋(歯根嚢胞)および炎症を起こした組織を掻き出します。
- 根尖の切断:感染した根の先端を約2〜3mm切断します。
- 逆根管充填:切断面からMTAセメント等を用いて根管を封鎖します。これが最も重要な工程です。
- 縫合:歯茎を元の位置に戻して縫合します。
- 抜糸:約7日後に抜糸を行います。
- 経過観察:術後2か月・6か月・1年後にレントゲンまたはCTで骨の回復を確認します。
術後6か月で歯根膜腔が明瞭になり、ほぼ治癒と判断できる症例も多く報告されています。
歯根端切除術の成功率はどのくらいか?保険と自由診療で何が違うか?
成功率は使用する機材と術式によって大きく異なります。保険診療では約40%、マイクロスコープとMTAセメントを用いた自由診療では約80〜90%とされています(大阪根管治療クリニック)。

保険診療の歯根端切除術の特徴は?
- 術式:肉眼またはルーペ(拡大鏡)を使用した従来法
- 切断面の角度:45度(再発しやすい形状)
- 使用薬剤:保険適用の薬剤のみ(MTAセメント不可)
- 成功率:約40%程度
- 費用:保険適用のため自己負担は比較的少額
自由診療の歯根端切除術の特徴は?
- 術式:マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を全工程で使用
- 切断面の角度:90度(再発しにくい形状)
- 使用薬剤:MTAセメント等の高性能材料を使用可能
- 成功率:約80〜90%
- 費用:前歯で16万円前後、小臼歯で9〜16万円程度(医院により異なる)
自由診療では1990年から北米で標準化された術式を採用し、切断面を90度にすることで再発リスクを大幅に低減できます。
当院(三代歯科医院)でも、マイクロスコープを用いた精密な治療を提供しており、根の状態を拡大視野で確認しながら精度の高い処置を行っています。
歯根端切除術のメリット・デメリットは何か?
最大のメリットは「抜歯を回避できる」ことです。根管治療で治らないと判断された歯でも、歯根端切除術によって天然歯を残せる可能性があります。
メリット
- 抜歯を回避できる:インプラントや入れ歯への移行を避け、天然歯を保存できる
- 被せ物を外さずに治療できる:新たに装着したクラウンを外す必要がない場合が多い
- 治療回数が少ない:手術自体は1回で完了するため、繰り返しの通院が不要
- 費用・通院回数の節約:抜歯後にインプラントを入れるよりも、費用や通院回数を抑えられるケースがある
デメリット・注意点
- 術後の腫れ・痛み:外科処置のため、術後一時的に歯茎の腫れや痛みが生じる。痛み止めと抗生物質で対応可能
- 歯茎の退縮リスク:切開線の位置によっては、歯茎が下がる場合がある
- 適応外のケースがある:根の場所によっては器具が届かず、歯根端切除術が行えない場合がある
- 歯周病がある場合:骨が少ない状態では、術後に歯の揺れが生じる可能性がある
- 専門的な技術が必要:口腔外科的な知識と経験が必要なため、対応できる医院が限られている
歯根端切除術はどんな症状のときに適応になるか?
根管治療を行っても症状が改善しない場合や、そもそも根管治療が行えない場合が主な適応です。具体的には以下のような状況が該当します。
- 根管治療を繰り返しても痛み・腫れ・膿が続く
- 根の先に歯根嚢胞(膿の袋)が形成されている
- 歯根が曲がっているなど根管形態が複雑で器具が届かない
- 金属の土台が入っており除去が困難なため内部からの治療ができない
- 根管充填は良好なのに根尖部の病変が治癒しない
「他院で抜歯と言われた」「歯を残したくて何件も回った」という患者さんが歯根端切除術によって歯を保存できた症例が多数報告されています。
歯根端切除術の後、どのようにケアすればよいか?

術後は安静を保ち、処方された薬を指示通りに服用することが最も重要です。術後の適切なケアが治癒の速度と成功率に大きく影響します。
術後すぐに注意すること
- 激しい運動・入浴・飲酒は術後数日間避ける(血行促進による出血・腫れの悪化を防ぐ)
- 処方された抗生物質・痛み止めは指示通り服用する
- 手術部位への強い刺激(硬い食べ物、強いうがい)は避ける
- 術後翌日に消毒・洗浄のため来院する(医院によって異なる)
術後の経過観察スケジュール
- 術後7日:抜糸
- 術後2か月:経過チェック
- 術後6か月:レントゲン撮影・骨の回復状況を確認
- 術後1年:レントゲン撮影・治癒・再発の最終確認
骨の回復には時間がかかります。術後6か月〜1年をかけて骨が再生していくため、定期的な経過観察への参加が治療成功の鍵となります。
当院の根管治療・歯根端切除術の対応は、こちらからご確認いただけます。
神戸・元町で根管治療・歯根端切除術を受けるには?
根の治療は、精密な診断と高度な技術が求められる専門性の高い分野です。「他院で抜歯と言われた」「根管治療を繰り返しても治らない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
神戸市中央区・元町にある三代歯科医院では、マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)とCT検査を活用した精密な根管治療に力を入れています。JR神戸線・阪神線「元町駅」より徒歩4分とアクセスしやすく、土曜診療も対応しています。
重度の虫歯や根尖病変でも、できる限り抜かずに天然歯を残す治療を心がけています。被せ物の精度にもこだわり、隙間からの再感染を防ぐ精密な補綴処置まで一貫して対応します。
根の治療でお悩みの方は、【三代歯科医院】根管治療のページからご確認のうえ、お気軽にご相談ください。土曜日も診療しており、平日に通院が難しい方にも対応しています。
よくある質問
歯根端切除術は保険が適用されますか?
保険診療と自由診療の両方があります。保険適用の場合は費用を抑えられますが、使用できる機材・薬剤に制限があり成功率は約40%程度です。マイクロスコープとMTAセメントを使用する自由診療では成功率が約80〜90%に向上しますが、費用は9〜16万円程度となります。
手術中は痛みがありますか?
局所麻酔を使用するため、手術中の痛みはほとんどありません。術後は腫れや痛みが生じることがありますが、処方された痛み止めと抗生物質で対応できます。
手術後、どのくらいで通常の生活に戻れますか?
翌日から通常の生活は可能ですが、激しい運動・飲酒・入浴は数日間控えることをお勧めします。抜糸は術後7日前後に行います。
歯根端切除術が失敗した場合はどうなりますか?
再発した場合は、再度の歯根端切除術か、一度抜歯して口の外で処置を行う「意図的再植術」を検討します。それでも改善しない場合は抜歯となる可能性があります。
歯根端切除術はどの歯でも受けられますか?
根の位置や形態によっては器具が届かず適応外となるケースがあります。特に下顎の大臼歯や神経管に近い歯は難易度が高く、CT検査による事前の精密診断が不可欠です。
根管治療と歯根端切除術の違いは何ですか?
根管治療は歯の内部から細菌を除去する治療で、歯根端切除術は外科的に根の先端を切除する治療です。通常は根管治療を先に行い、改善しない場合に歯根端切除術を検討します。
歯根端切除術後に被せ物は変えなくてよいですか?
多くの場合、既存の被せ物を外さずに治療できます。ただし、被せ物の状態や根の状況によっては交換が必要になることもあります。術前の診査で判断します。
マイクロスコープを使うと何が違いますか?
マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)を使用すると、根の切断面を高倍率で確認でき、未処置部分や歯根破折の有無を精密に診断できます。成功率が保険診療の約40%から約80〜90%へと大幅に向上します。
まとめ
歯根端切除術は、通常の根管治療で治らない根尖病変に対して抜歯を回避するための有効な外科的選択肢です。マイクロスコープとMTAセメントを用いた自由診療では成功率が約80〜90%に達します。「抜歯しかない」と言われた場合でも、まず精密なCT検査と専門医への相談を行うことが重要です。神戸・元町の三代歯科医院では、マイクロスコープ・CT検査を活用した精密な根管治療を提供しており、土曜診療にも対応しています。天然歯を残すための選択肢として、ぜひご相談ください。
三代歯科医院|神戸市中央区元町
歯根端切除術・根の治療のご相談はこちら
月火水金 9:30〜13:00 / 14:00〜19:00|木土 9:30〜13:00 / 14:00〜18:00|日曜定休
著者情報
院長
三代 知史
(みしろ さとし)

略歴
- 昭和56年3月東京医科歯科大学歯学部 卒業
- 昭和56年4月大阪大学歯学部附属病院 第二補綴科医員
- 昭和60年4月大阪大学歯学部文部教官助手任官
- 昭和62年4月三代歯科医院 開業
所属学会
- 日本歯科補綴学会
- 日本臨床歯周病学会
- 日本顎咬合学会
- 日本歯科麻酔学会
- 日本歯科医療管理学会
主な役職
郡市区役員歴
- 令和元年7月中央区歯科医師会 会長
- 令和5年6月神戸市歯科医師会 副会長
兵歯役員・委員歴
- 平成23年4月理事(学術)
- 平成27年7月常務理事(財務)
- 令和元年7月副会長(医療保険、医療安全、医療管理)
- 令和3年7月監事
日歯役員歴
- 令和3年7月〜令和5年6月日本歯科医師会 常務理事
- 令和5年7月公益財団法人8020財団 常務理事
賞罰
- 平成21年11月兵庫県公衆衛生協会長表彰
- 令和元年2月日本公衆衛生協会長表彰
- 令和5年10月厚生労働大臣表彰
