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Er:YAGレーザーと炭酸ガスレーザーの違いとは?
~三代歯科での活用例~

2025.08.16

三代歯科の院長、三代知史です。
当院では、患者様の症状や治療内容に応じて、2種類の歯科用レーザー機器を活用しています。ひとつは、モリタ社製のEr:YAGレーザー「アーウィン アドベール」、もうひとつは、**ヨシダ社製の炭酸ガスレーザー(CO₂レーザー)**です。
今回はこの2種類のレーザーについて、それぞれの特徴と用途の違いをご紹介いたします。

Er:YAGレーザー「アーウィン アドベール」の特徴

Er:YAG(エルビウム・ヤグ)レーザーは、波長2940nmの水に非常によく吸収されるレーザー光を用います。そのため、歯や骨、軟組織を含むあらゆる組織の表面にある「水分」に作用し、組織を蒸散(気化)させることで処置を行います。

このレーザーの特徴は次の通りです。

痛みが少ない

冷却水を併用しながら照射するため、熱による刺激が少なく、麻酔の量を減らせることがあります。

切削性に優れている

う蝕(虫歯)部分や根管内の感染物質を、削るのではなく蒸散させて除去できます。

歯周ポケットの殺菌・消炎に有効

歯周病治療において、歯石除去や歯周ポケット内の殺菌が可能です。

エアロゾルの発生が少ない

従来の回転器具と比べて、飛沫の発生が抑えられるため、感染対策にも優れています。
特に当院では、歯周ポケット内の精密な処置や、根管治療、インプラント周囲炎への対応において「アーウィン アドベール」を使用しています。

ヨシダ社製 炭酸ガスレーザー(CO₂レーザー)の特徴

炭酸ガスレーザーは、波長10600nmの赤外線レーザーで、主に軟組織(歯肉や粘膜)に対して優れた蒸散・凝固作用を持ちます。こちらは水に対する吸収率は高くないものの、血液や組織に含まれるタンパク質に強く反応するため、止血・凝固に優れています。

特徴は以下の通りです。

歯肉の切開・整形が短時間で可能

メスよりも出血が少なく、術後の治癒も早くなります。

 止血効果が高い

血管への作用で瞬時に止血されるため、出血の多い部位の処置に適しています。

殺菌効果

口内炎や小帯切除などにも応用され、痛みを抑えつつ短時間で治療が可能です。

根面の感作抑制

知覚過敏の緩和にも用いることがあります。

当院では、口内炎の治療、小帯の切除、歯肉の整形・切開、インプラント周囲の歯肉管理など、出血を抑えたい処置に炭酸ガスレーザーを使用しています。

両者の違いと使い分け

項目 Er:YAGレーザー
(アーウィン アドベール)
炭酸ガスレーザー
主な対象 硬組織(歯、骨)、軟組織 軟組織(歯肉、粘膜)
波長 2940nm(非常に水に吸収されやすい) 10600nm(タンパク質吸収に優れる)
効果 蒸散、殺菌、除去 切開、止血、凝固
使用例 歯周病、根管治療、インプラント周囲炎 小帯切除、口内炎、歯肉整形
痛み 比較的少ない(麻酔量軽減) 処置内容により異なるが、治癒は早い

 

どちらのレーザーも「すべての処置に万能」ではなく、それぞれの特性を理解し、症例ごとに使い分けることが重要です。

まとめ

三代歯科では、患者様の症状に最適な治療をご提供するため、Er:YAGレーザー「アーウィン アドベール」と炭酸ガスレーザーの両方を導入し、使い分けております
これにより、より低侵襲で、安全かつ快適な歯科治療が可能となっています。

今後も、技術と機器の両面で進化を続けながら、皆様に信頼いただける診療を提供してまいります。

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