
歯周病は、日本人が歯を失う最大の原因と言われています。原因は歯と歯ぐきの境目にたまった歯垢(プラーク)や歯石に潜む細菌です。これらが炎症を引き起こし、やがて歯を支える骨を溶かしてしまいます。治療の基本は、感染源を徹底的に取り除くことです。今回は、従来から行われてきた通法の歯周治療と、当院が導入しているモリタ社製Er:YAGレーザー「アーウィン アドベール」を使った治療を比較してご紹介します。
1. 通法による歯周治療
従来の治療は、スケーリング(歯石除去)やルートプレーニング(歯根面の滑沢化)を専用の器具で行います。
【メリット】
・長年の実績があり、保険診療の範囲で広く行われている
・特別な機器を必要とせず、多くの歯科医院で受けられる
【デメリット】
・器具の振動や圧力による不快感や痛みを伴う場合がある
・歯周ポケットの奥深くや歯根の細かい凹凸部分の細菌を完全に除去するのは難しい
・治療後に出血や腫れが起こることがある
通法はあくまで「物理的な除去」が中心であり、深い部分や複雑な部位では限界があるのも事実です。
2. Er:YAGレーザー「アーウィン アドベール」による歯周治療
Er:YAGレーザーは、水に反応して組織を微細に削る特性を持ち、歯周病の原因菌を熱ダメージを最小限に抑えながら殺菌できます。
【特徴】
・直接歯周ポケット内に照射し、感染組織や歯石を蒸散
・熱の影響が少なく、歯肉や歯根に優しい
・同時に殺菌・消炎効果を発揮
【メリット】
・出血や痛みが少なく、麻酔を使わずに治療できる場合もある
・歯周ポケットの奥まで殺菌でき、再発リスクを低減
・治癒促進作用があり、歯ぐきの回復が早い傾向
【デメリット】
・専用の高価な機器が必要で、一部は自費診療になる場合がある
・全ての症例で万能というわけではなく、重度の場合は外科的処置が必要
3. 両者の比較まとめ
項目 | 通法治療 | Er:YAGレーザー治療 |
---|---|---|
痛み・不快感 | 振動・圧力による痛みが出やすい | 痛みが少なく快適 |
深部の感染除去 | 限界がある | 奥深くまで殺菌可能 |
出血・腫れ | 出やすい | 少ない |
治癒の早さ | 通常の経過 | 早い傾向 |
適応範囲 | 幅広いが限界あり | 中等度まで特に有効 |
4. 当院での活用
当院では、基本的な歯周治療に加え、必要に応じてEr:YAGレーザー「アーウィン アドベール」を併用しています。これにより、従来法では取りきれない細菌や感染組織を効果的に除去し、患者様の快適性と治療効果を高めています。特に初期〜中等度の歯周病では、治療後の歯ぐきの引き締まりや再発予防に大きな効果を感じています。
まとめ
通法による歯周治療は信頼性の高い方法ですが、Er:YAGレーザー治療を組み合わせることで、より低侵襲かつ効果的な治療が可能になります。歯周病は早期治療が肝心です。気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。